YouTubeなどを見ると敷金を全額回収したという武勇伝が流れていることがある。不動産屋は法律も知らずに敷金をシレっと取るものなのか?そして
敷金は6年経つと償却するから5年以上住めばゼロになるのか?
結論から言うと答えは一つではありません。
自然な経年劣化だけなら、6年で償却=原則負担なし
故意・過失による損耗があれば、6年経っていても費用が発生する
です。
ですからYouTubeで流されているような武勇伝は不動産屋から言わせてもらうと「ただのクレーマー」です。
口が達者で裁判も辞さないという恐ろしい借主に対して問題をこれ以上大きくしたくないという不動産屋さんの大人の対応なのでしょう。
なのでクレーマーになりたくない人は上記で述べたような汚してしまった、傷つけた部分は修繕費として敷金を支払うのが一般的な行動と言えるでしょう。
クロスやフローリングなどは償却するからゼロになるのではないか?
仰る通り部位によって原状回復費用の負担割合を決めるための耐用年数があります。耐用年数をまとめるとこんな感じです。また例外として「借主が負担するケース」も追記しました。
項目 | 耐用年数(年) | 借主が負担するケース |
---|---|---|
クロス(壁紙) | 6年 | 落書き・タバコのヤニ・大きな破損などがある場合、その部分の残存価値に応じて負担あり |
フローリング(合板) | 6年 | 傷やへこみ、水濡れなどが故意・過失と認定された場合に耐用年数に基づいて按分して負担 |
クッションフロアー | 6年 | 焦げ跡・家具の重み跡・水分等による変形があれば負担対象 |
カーペット | 6年 | シミ・におい・汚れがひどい場合は部分負担されることがある |
畳(表替え) | 6年 | 飲み物をこぼした・破ったなど借主の責任があれば、その部分の負担が求められる場合あり |
確かに普通に使っていて耐用年数が過ぎていたら不動産屋さんとの交渉の余地があるでしょう。ただそれは基本的に過失がない場合と考えてください。
※ただし「クリーニング費用」別問題!特約に記載があれば借主負担となります。
しかしこれは国土交通省が考えたガイドラインです。大手不動産屋は家賃を高くするなどの対処をしていますが一般的な小さな不動産屋さんの物件は昔と違い家賃に乗せていた修繕費も取れない状態となっており貸主にしてみれば気の毒な考え方でもあります。
耐用年数がこえているのにも関わらず敷金から差し引かれたら法律違反ではないか?
敷金のトラブルに関して宅建業法などの法律違反になる事はありません。あくまでも民事的な裁判になるという事です。ですから冒頭で述べたようにクレーマーの方が国土交通省のガイドラインをどれだけ主張しようが法律違反とは異なりますので不動産屋が居直れば民事裁判をやらない限りそれで終わる話ではあります。
そうなってくると各々の考え方があり各々が決めたルールという事なります。お互いにとって怖い事でもありますので不動産屋さんを決めるときはそれも含めて考えるという事も大事でしょう。
敷金で差し引かれる妥当な考え方とは?
やはりお互いモラルの範疇で行うという事が大事です。
例えば貸主は残存価値がこえている物に関しては少なくとも折半など金額を見合わせるのが正解でしょう。
借主はいくら6年経っているとは言え通常に使っていれば貼り変えなくとも貸せたクロスを汚してしまったというのであれば折半で支払ってあげるというのはまともな考えだと思います。
例として何十年も住んでいれば過失もあるのは当然でしょうし耐用年数も過ぎています。そうなれば敷金の返金は無くても良いのでそれ以上は取らないなど「借主、貸主にとってどちらも妥協する点を作り交渉に応じる」という考え方が民事であると考えます。
敷金のトラブルは一方の傲慢さによるものが多いという事ですね。
私個人としては額にもよると考えています。敷金ないであればモラルの範疇で相互交渉すれば良いかと思います。ただ賃貸で50万も敷金で請求する一部の大手不動産屋さんを知ってしますがそれは如何なものかと思います。仲介手数料など諸費用が安い業者さんだからと言って結局退去の時に多額のお金を請求されるのなら仲介手数料どころではありません。
そういった不動産屋であれば憤りも感じますし民事ですが裁判を検討しても良いかもしれませんね。敷金内の少額であれば裁判費の方が嵩みますので妥協する余地も必要だと思います。
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