権利関係
令和2年度(10月) 問5(正解:1)
AとBとの間で令和2年7月1日に締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
◯ 1. [正解] Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。
2. Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。
3. Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。
4. Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。
解説:委任者の帰責事由により履行不能となった場合、受任者は報酬全額を請求できるが、自己の債務を免れたことにより得た利益を委任者に償還しなければならない(536条2項の類推・危険負担の考え方)。2は受任者は「善良な管理者の注意」をもって委任事務を処理する義務を負う(644条)のであり、自己の財産に対するのと同一の注意ではない(これは無報酬の場合の他の類型と異なる)。3は履行の割合に応じた報酬請求は可能な場合がある(648条3項)ため、報酬を一切請求できないとは限らない。4は受任者の死亡は委任の終了事由であり(653条1号)、相続人が当然に地位を承継するわけではないが、急迫の事情がある場合は必要な処分をすべき義務を負う(654条)。